7月17日、佐世保島瀬美術センターに行ってきました。
目的は「ゴジラシリーズを支えた特撮映画美術監督・井上泰幸展」です!
≪きっかけ≫
2020(令和2)年度の長崎地域学で東郷登代美様に井上泰幸監督のことをお話しいただき、同年度のキャリア交流では、特技監督/美術デザイナーの三池敏夫監督にお話しいただいたのですが、その時から特撮技術の凄さ、素晴らしさを再認識すると同時に、興味関心が高まっていたため、今回の企画展を待ちわびていました。
≪佐世保開催の理由≫
今回、佐世保市で企画展が開催された理由は、「空の大怪獣ラドン」という特撮怪獣映画が1956年に公開されたのですが、その際に撮影の舞台となった場所の一つが、現在の佐世保市鹿町町であり、さらに公開前年に開通した西海橋が早速破壊されたという繋がりから実現したものです。
井上泰幸監督の姪にあたる東郷登代美さんの熱意と、井上泰幸監督の愛弟子・三池敏夫監督の御尽力の賜物です。
≪井上泰幸展の見どころ≫
美術担当でありながら、絵コンテまで描く。
台本からイメージできる景色を「創り出す」。
徹底的に建物の大きさや構造、質感を研究し、形にする。
怪獣などに壊されることが分かっているのに、いや、分かっているからこそ徹底的にリアルを追求する。
そのこだわりや情熱が、各展示から伝わってきます。
さらに今回の見どころはやはり、ラドンで使用された昔の岩田屋(福岡)のミニチュアを復元したものの展示です。スケールも精密さも圧巻です。 その制作監修はやはり三池監督。会場にも制作風景のドキュメント映像が流れていますが、実際のものを、しかも今回は再現されたものを再現していく、という“こだわり”が伝わってきます。
≪三池敏夫監督について≫
日本の怪獣映画が世界を魅了した、まさにその時代を支えた井上泰幸監督であり、その精神を継承している方が三池敏夫監督です。
幼少の頃から「日本沈没」などの特撮映画が大好きで、さらにものづくりや美術が得意だったこともあり、大学時代に職業として意識し始めて、実際に就職したとのことですが、やはり大学で学んできた知識と実際の現場で起こる肉体労働的な仕事のギャップに、当初は対応ができず苦労されたそうです。
それでも3年経った頃には仕事の流れも掴み、しっかりと対応できるようになったとか。
三池監督ご自身のターニングポイントは、1995年に公開された平成ガメラ第1作「ガメラ 大怪獣空中決戦」で、金子修介監督や樋口真嗣特技監督のもとで、自分の采配で取り組むことができた成功体験が、その後も活動にも自信を持って取り組めたとのことでした。
やはり、1つの成功体験が自信に繋がり、その後の大成功に繋がっていくのですね。
≪まとめ≫
現在、CG等の映像技術が発達してきている中、特撮技術はある種の伝統的技法になりつつあります。それでも実際の材質を理解し、自然現象を理解し、生態を理解し、撮影に必要な大きさや情景は何なのか等、一つ一つにこだわり、創り上げていく特撮の世界は、日本独自の進化(深化)を遂げてきていると感じました。
実際に三池監督も「特撮では、手作りの味があるし、何より、ものづくりの精神が伝わってくる。自然現象や生態を理解して、創意工夫をして取り組んでいることが、画面·映像を通して、熱意が伝わって、感じてくれているのではないか。そこに、ものづくりの喜びがあることも、感じとって欲しい」と、言われていました。
お時間のある方は是非、佐世保島瀬美術センターに足を運んでくださいね。