2022年8月11日(木・祝)から15日(月)まで、佐世保市博物館島瀬美術センターで、「Skeleton bus Nagasaki~ペーパークラフト・バスで綴る80年代の名車達~」が開催されました。
主催者はなんと、経済学部2年の菊池将成さん。現在、「たびぶたい」でも積極的に活動しています。
当初はバスが好きな学生、という認識だったのですが、ペーパークラフトでミニチュアを作っていることを知り、写真で見せてもらったときに、素直に「すごい!」と感じていました。そこで、その時に島瀬美術センターで開催されていた「井上泰幸展」を紹介したのですが、まさか一年後に展示会を開くまでになるとは、その時は考えていませんでした。何がきっかけになるのかわかりませんね
会場に行くと、本来長崎バスが運行していない島瀬美術センターのバス停が!
これを準備できるということは、菊池さんがいかに長崎自動車様と信頼関係を構築しているかということを窺い知ることができます。実際の路線バスで使用されていた行先案内表示のロールなどもあり、長崎市民には懐かしい「遊園地前」の表示も残っていました。歴史を感じる貴重な一品です。
会場内には小学生の頃から作り続けているバスのペーパークラフトが整然と並んでいます。時代を重ねるごとに、その精密さは増しているのを実感できます。当初から変わっていないのは縮尺らしく、車幅を3.5cmと設定したことから、1/76スケールとなっているそうです。ちなみに国内で販売されているミニカーなどは1/80などが一般的らしいのですが、菊池君の縮尺は日本国内規格ではなく、グローバル規格に近いそうです。バス正面の案内掲示板の角度、ライトの形、バンパーの形状、タイヤの幅やホイールまで、話を聞けば聞くほどこだわりを知ることができます。
長崎バスは運転士一人に1台、バスが割り当てられることもあり、それぞれのバスにその運転士のこだわり・個性があるそうです。タイヤにガッツリとワックスを塗る人、ホイールのボルト頭だけを塗装している人、ルームミラーの角度にこだわっている人、サンバイザーを使わない人、ナンバープレートにフレームをつける人などなど、見比べるとペーパークラフト・バス一つ一つに、その運転士の個性が表現されています。「通」すぎます。
そして、バスの座席まで再現しているものがあったのですが、なんとこれば西鉄バスが使用していた「安全運転推進車」とのこと。確かに普通の路線バスや高速バスと違うと思っていたのですが、バスのスピードや振動など様々な審査を確認するための機材が積んであり、運転士の技術向上のために使用されていたそうです。実は西鉄バスが全国に先駆けてはじめた取り組みなんだそうです。バスのステップやルームミラー、真ん中の乗降口は車いすを入れるためにあえて左側の幅が広いところなども再現。座席一つ一つ正確にこだわって作られていて、これは完全に、歴史的資料です。
何より印象的なのが、説明をしている菊池さんがイキイキしていること。聞いているこちらも楽しくなって、ついつい質問してしまいました。
会場では菊池さんが作成したワークショップ用のペーパークラフトもありました。会場に来た子ども達も嬉しそうにもらって帰っていました。また、バス停キーホルダーも販売。めちゃくちゃ再現度高いです。フォントに至っては、本職の人たちもどこからデータが流出したのか慌てたくらい、実際のフォントに類似しているそうです。最寄りのバス停や懐かしのバス停をキーホルダーにできるため、これは素敵なアイデア商品ですね。
今回は5日間の開催ではありましたが、好きを追求して積極的に調べたり、話を聞きに行ったり、情報を収集して動いていたからこそ実現できたものであり、人と人との繋がりの大切さを改めて実感することができました。
次はどんな展開になるのか、楽しみです。
菊池さん、お疲れ様でした。